見えない声を聴く――
歴史・宗教的にジェンダー格差が根深い韓国において、LGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティたちは如何にして自己のアイデンティティを確立し、社会的立場を獲得していったのか。1990年代以降の韓国の「セクシュアル・マイノリティ運動」の萌芽、変遷の検討から、マイノリティたちが団体や居場所を隠れ蓑として自ら〈当事者〉であることをあいまいにすることで自己を守りながらも、自分たちが抱える問題を可視化し、社会変革を起こしてきた様子を浮かび上がらせる。
◎目次
はじめに
序章 エンパワメントの視点からみる韓国のセクシュアル・マイノリティ運動
第1節 研究の背景と問題意識
第2節 当事者性とニーズ論
第3節 エンパワメント過程の分析枠組み
第4節 クィア・スタディーズというアプローチ
第5節 本書の概要
第1章 韓国におけるセクシュアル・マイノリティの差別状況と運動――先行研究から
第1節 韓国におけるセクシュアル・マイノリティ差別
第2節 韓国における国・地方自治体の取り組みと限界
第3節 韓国におけるセクシュアル・マイノリティ運動
第4節 韓国におけるセクシュアル・マイノリティ研究とその分野
第2章 セクシュアル・マイノリティ個人の肯定化――「非認知ニーズ」の当事者性
第1節 セクシュアル・マイノリティに対する社会の無知
第2節 セクシュアル・マイノリティ当事者の無知と不安
第3節 出逢いの場を求めるセクシュアル・マイノリティ
第4節 当事者性にみる問題意識の芽生え――ヨウンヘの誕生
第3章 セクシュアル・マイノリティ当事者の可視化と活動の変容――当事者性の獲得
第1節 軍事政権の終焉とセクシュアル・マイノリティ運動の始まり
第2節 セクシュアル・マイノリティ運動の担い手の登場
第3節 セクシュアル・マイノリティ存在の可視化の下での差別と嫌悪
第4節 セクシュアル・マイノリティ差別への危機感とオンラインコミュニティの急増
第4章 「あいまいな当事者性」戦略――社会変革を目指して
第1節 セクシュアル・マイノリティ芸能人の登場と差別の本格化
第2節 人権問題として取り上げられるセクシュアル・マイノリティ問題
第3節 姿を隠すセクシュアル・マイノリティ運動の担い手――「あいまいな当事者性」戦略
第4節 「あいまいな当事者性」戦略の転換
第5節 セクシュアル・マイノリティ運動にみるニーズの変遷過程――ニーズの発生と充足
第5章 セクシュアル・マイノリティ運動の新たな動き――「あいまいな当事者性」戦略の現状
第1節 セクシュアル・マイノリティをめぐる社会の新たな動き
第2節 セクシュアル・マイノリティ人権運動に反対する近年の動向
第3節 セクシュアル・マイノリティ運動の中で抱える運動団体の課題
第4 節 「あいまいな当事者性」戦略によるセクシュアル・マイノリティの日常的生活課題の潜在化
終章 新たなコミュニティの創造によるエンパワメント
第1節 韓国のセクシュアル・マイノリティ運動におけるコミュニティの機能
第2節 主体化する当事者と新たなコミュニティ
第3節 新たなコミュニティの生成とエンパワメント
第4節 本書の限界と課題
おわりに
◎著者プロフィール
柳 姃希(ユウ・ジョンヒ)
武蔵野大学人間科学部社会福祉学科 助教。
著者:柳 姃希
出版元:春風社
表記:日本語
H210mm×W148mm/206P/2023
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