

日本時代と現代、二つの時代を描く 台湾発 至上の百合漫画が登場! 台湾の漫画賞「金漫奨 2021年度漫画奨 」受賞作品 二人の関係は、姉妹、あるいは親友、それとも恋人? おそらく、それを的確にいい表す言葉はない。 そして言葉で言い表す必要もない。 お互いの想いが通じてさえいれば、それで充分なのだから。 舞台は昭和11年。「高等女学校」「日本への進学」「職業婦人」といった「新しい未来」が少女たちの前に輝かしく提示され、それでもその未来への扉を開くか否かの選択は決して少女たちの自由意思にはゆだねられていなかった時代。そこにひっそりと咲く少女たちの恋。
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日本統治下、昭和11年の台湾・台中市。自由な未来を思い描きながら、自由に未来を選択することが当たり前でなかった少女たちの物語『綺譚花物語』。過去から現在、翻弄されながら変化してきた時代の中で、彼女たちは果たして自由に生きられるようになったのだろうか。
あなたがいるから、未来に希望を抱くことができたーー。
偶然の出会いではじまった何気ないエピソードが、一生忘れられなくなることもある。四つの物語、四つの愛。
物語の真摯な問いかけとともに、伸びやかなタッチの絵がとても素敵です。
サウザンブックスのクラウドファンディングで、日本語版の出版も決まった台湾発のコミック。
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昭和11年。「高等女学校」「日本への進学」「職業婦人」といった「新しい未来」が少女たちの前に輝かしく提示され、それでもその未来への扉を開くか否かの選択は決して少女たちの自由意思にはゆだねられていなかった時代。
第一作「地上的天國~地上にて永遠に~」
台中女学校に通う詠恩と玉英。仲の良い先輩後輩である二人だが、卒業後に二人を待つ未来はいずれも結婚であり、詠恩の卒業後は再び会えるかどうかもわからない。そんな二人の再会は、予想外の形で叶えられることに。
第二作「昨夜閑潭夢落花~乙女の祈り~」
同じく台中女学校の同級生である日本人の茉莉と台湾人の荷舟。荷舟は卒業後も補習科に一年通い教師を目指す予定だったが、茉莉を待つ未来は東京での結婚だった。荷舟との別離を拒む茉莉は、とある禁忌に手を伸ばす。
第三作「庭院深深華麗島~小夜啼鳥~」
台中市内の林家の屋敷で「奥様」として優雅に暮らす若き妾の蘭鶯と、跡取りの「お嬢様」である女流詩人の雁聲。かつて台中女学校を受験し合格していながらも籠の鳥となる未来しか許されなかった蘭鶯は、一つの決意を胸に秘めていた。
第四作「無可名狀之物~夢の通い路~」
そして時は経ち、現代の台中。「21世紀の自由な台湾」で、昭和11年には到底考えられなかった人生を送っている二人の女性、大学院生の蜜容(ミーロン)と小説家志望の阿貓(アーマオ)。だが、彼女達は本当に「自由」なのだろうか? 昭和11年の鳥籠は、形を変えて二人を捕えてはいないのだろうか?
〈台湾漫画について〉
日本時代を通じて台湾でも定着しつつあった漫画文化も、戒厳令下に於いてはその表現に厳しい制約を受ける。このため台湾では海賊版という形で流れ込み非公式に販売された日本漫画が非常に人気を博し、エロ、グロなどの要素も含めて漫画家たちに大きな影響を与えた。現在でも日本式の漫画文法は、アメコミスタイル、バンドデシネスタイルと並んで台湾漫画に於ける主流な文法の一つになっている。特に少女漫画に於いてはキャラクターデザインなども含め日本漫画の影響が大きい。
◎著者プロフィール
作画:星期一回収日
台南出身、2015年デビュー。2018年出版の「粉紅緞帶(ピンクのリボン)」で、ロリータ服を愛好する(ことで若干周囲から浮いている)少女と、かわいいものは似合わないと自認している少年のようなバレーボール選手との間に徐々に芽生えていく友情を描き、同作は2019年の金漫獎で年度漫畫大獎(「今年度の漫画」大賞)と少女漫画賞をダブル受賞。
2019年出版の「九命人――溺光」では高校時代のキャンパスクイーンだった美少女を中心に、「理想の先輩」である彼女に高校時代から恋していた後輩の少年と、彼女が自分にだけ見せる「優等生」ではない素顔に惹かれつつも、その感情を封じて女同士の「友情」へと落ち着かせた同級生の少女、両者の想いとその後を描き、2020年の金漫獎で年度漫畫大獎を受賞している。
原作:楊双子
台中出身の小説家。台湾の民主化に伴い、いわゆる「台湾アイデンティティ」作品が派生してくる中、台湾歴史小説のジャンルで初期から「女性目線による日本時代」を描き、更に「日本時代に於ける女性にとって唯一構築可能だった対等な恋愛関係」としての百合を描くことで「百合歴史小説」という独自のジャンルを確立した。また大衆文学やアニメ、漫画、ゲームの研究者としても評価を得ている。
2016年の初刊行小説「撈月之人(水面の月を掬う人)」は、主人公である代々霊媒を生業とする家に生まれた女子高生が、従姉の友人である先輩の幽霊を成仏させるべく、幼少時からの友人である山神の助力を得て、その死因と現世に残る理由となった未練を探るため奔走する、というミステリー。
2017年刊行の「花開時節(花咲ける時)」及び、翌年刊行の外伝「花開少女華麗島(花咲ける少女たちの華麗島)」は「百合歴史小説」の大作であり、大正時代の富豪の幼いお嬢様「雪泥」の身体に入ってしまった現代の大学生が、一種の転生チートで「優等生」にのし上がりつつ、第二次大戦期に至るまでの昭和の女性史を「自分事」として体験し、現代とのギャップに衝撃を受けつつも名家の女性当主として成長していく姿を描いている。
上記三作及び2017年に参加したアンソロジー「華麗島軼聞:鍵」に収録の「庭院深深」は、いずれも「綺譚花物語」内の昭和11年を舞台にした三篇の原型、習作としての性格を備えており、「綺譚花物語」はこれまで書きつづられてきた「百合歴史小説」の集大成であるとも言える。
作画:星期一回収日
原作:楊双子
翻訳:黒木夏兒
出版元:サウザンブックス社
表記:日本語
H210mm×W150mm/242P/2022
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