
橋渡しとなる韓国文学やK-POPを通して、サウダージ・ブックスの編集人であるアサノタカオさんが、父親として10代の娘(ま)さんと対話する試みであり、韓国に惹かれた父と娘が未知の世界を知ろうと読んだ文学についてのエッセイでもある本『「知らない」からはじまる 10代の娘に聞く韓国文学のこと』。
親子で、それぞれが物語をどう読んだか、語り合えるってなんて素敵なんでしょう。
数は少ないけれど、自分が読んだ韓国文学の中でぼんやりと好きだったチェ・ウニョン『ショウコの微笑』を “この「むなしさ」は自分と同じ「世界線」にある”という、そのまま小説の本の帯につけたくなるほどの言葉で語る(ま)さんに唸りました。
何よりも『「知らない」からはじまる』… というタイトルがいいのです。
「知らない」は自由で楽しくて、期待でわくわくする心の状態。異国を旅行し、海外文学を読み、そうすることで未知の世界を発見する喜びは、いつも知らないものたちの冒険心からはじまるはずです〜本文より
「知らない」からはじまる、この感覚を、あらためて大事にしたくなりました。
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出版社の解説より
「未知の世界を発見する喜びは、いつも知らないものたちの冒険心からはじまる」。サウダージ・ブックスの編集人で韓国文学ファンである父親が、K-POPが好きな10代の娘に話を聞いてみた。憧れのソウルを旅行したこと、韓国の小説を読んだこと。韓国カルチャーの追っかけをするふたりのアマチュアの、少しミーハーで少しきまじめな証言を記録したインタビュー&エッセイの本。
《作者のチョン・セランには、いまの韓国はそう簡単に幸せになることが許されない暗い時代だっていう考え方があって、暗ければ暗いほど、小さな希望に光を感じられるっていうことなんじゃないの? だから……ホ先生が通りすがりの子どもに運を分けてあげたいと思うちょっとしたエピソードにもあたたかい価値が生まれるんだと思う。》
〜(ま)「ホ先生が人生の最後に抱く幸福には、でも陰がある」より
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◎もくじ
はじめに
「知らない」からはじまる旅と読書 アサノタカオ
I:インタビュー ま&アサノタカオ
「バンタン食堂」で会ったお姉さんは、とてもフレンドリーだった
〜BTS聖地巡礼その他1
距離みたいなものがなくなってメンバーが身近な存在に
〜BTS聖地巡礼その他2
この「むなしさ」は自分と同じ「世界線」にある
〜チェ・ウニョン『ショウコの微笑』
ホ先生が人生の最後に抱く幸福には、でも陰がある
〜チョン・セラン『フィフティ・ピープル』
思いを話したいと願うようになったから「ことば」が出てきた
〜ファン・インスク『野良猫姫』
背負いきれないものを背負っている人たちが何かを封印して生きている
〜キム・エラン『外は夏』
問題の原因は目に見えない感情や気持ち、人と人の関係にある
〜チョン・セラン『保健室のアン・ウニョン先生』
非日常のあとの日常を普通に生きていく人を描くこと
〜チョン・セラン『屋上で会いましょう』
II:エッセイ
心の矢印が、ぐっと朝鮮半島のほうに傾いた アサノタカオ
忘れられたものたち、忘れてはならないものたち
〜ファン・ジョンウン『ディディの傘』 アサノタカオ
わからない世界で自分を生きる
〜チョン・セラン『声をあげます』 (ま)
おわりに
〜親子という境域(ボーダーランズ)で話を聞く アサノタカオ
著者:(ま)&アサノタカオ
出版元:サウダージ・ブックス
表記:日本語
H188mm×W122mm/116P/2022
*Overseas shipping OK
*Free shipping on orders over ¥ 10,800
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