檀上 遼さんが書いた『馬馬虎虎 vol.1 気づけば台湾』を手にしたのは、ちょうどはじめての台北旅行に行って帰ってきた頃だったと思います。
いつもギリギリまで準備できず、ろくに調べずに行って、帰ってきてからもっと調べてから行けばよかったと、旅行ガイドを読んだりするようなボンクラなので、はじめての台北旅行の後に訪れた大阪のFOLKという本屋さんの本棚で『馬馬虎虎 vol.1 気づけば台湾』が目に止まったのは必然でした。特に表4の目次に書かれていた“台湾と同性愛社会”、“サウナにて”の二項目に惹かれたのはいうまでもありません。
なぜならはじめての台北旅行で訪れたゲイサウナが、チャイ・ミンリャン監督の映画に出てきそうな趣のあるハッテン場でずっと余韻が残っていたからです。そんな動機で読みはじめた檀上 遼さんの台北での留学生生活記、書き出しから魅力的で、すぐに惹き込まれました。
「なぜかわからないけど、昔から変わった人が多い」という古亭駅のマクドナルドのエピソードがとくに好きです。
そして、日本人の父と台湾生まれ香港籍の母を持つという檀上さんが、留学から帰ってきてずっと考えていたという「台湾、中国、香港、韓国…隣人の文化や言語に対する理解だけでなく、相手の立場や歴史を慮れる想像力と、それを知ろうとする姿勢が大事だ」という一節は、この文章が書かれた2015年から6年が経った今、さらに大切にしたい言葉だと思います。
タイトルの「馬馬虎虎(マーマーフーフー)」とは、中国語で「いい加減な」「まぁまぁ」、関西弁で言えば「ぼちぼちでんな」という意味だそう。
牛のようにゆっくり反芻して、旅の中で体験したことを味わいながら、時間をかけて書かれた檀上さんの文章に心を掴まれ、世界を見る視点に心が動かされます。そして文章に添えられた写真もまた素敵なんです。
instagramの壇上さんの写真アカウントをぜひご覧ください。
https://www.instagram.com/ryodanjyo/
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2012年から2013年にかけての一年間、語学留学で台北に滞在した筆者のエッセイ集。当時の日記や撮りためた豊富な写真も収録。台湾生まれ香港籍の母親をもつハーフという自身の出自を活かし、ガイドブックとも旅行記とも違う切り口で台湾での生活をみずみずしい筆致で描いている。
文章をメインとした「読み物」を意識した作りとなっていますが、台湾に関心がある方もない方もどちらも楽しめるような一冊になっています。
〜出版社レビュー
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在庫が切れていましたが、2021年10月、リニューアル版が再出版されました! ページ数も16ページほど増え、新たな写真も20枚近く追加、すべての写真の色味なども調整されています。さらに文章も、短いエッセイやリニューアル版のあとがきなどが新たに書き下ろし、全編加筆修正されているとのことです!この機会にぜひ!とてもとてもおすすめの一冊です。
◎目次
1.まえがき
2.ハーフの私と中華圏
3.なぜ台湾なのか
4.台北生活
5.留学生生活
6.酒と夜市
7.古亭的麥當勞
8.南へ
9.中国と私
10.台湾の同性愛社会
11.サウナにて
12.最後に
13.あとがき
14.リニューアル版 あとがき
◎著者プロフィール
檀上 遼(だんじょう りょう)
1983年生まれ、神戸市生まれ。日本人の父と台湾生まれ香港籍の母とのハーフ。文筆業と写真を中心に活動中。
2015年に台湾滞在記『馬馬虎虎 vol.1 気づけば台湾』
2017年に台湾旅行記『声はどこから』(篠原幸宏共著)
2021年にタイ・ラオス旅行記『馬馬虎虎 vol.2 タイ・ラオス紀行』刊行
著:檀上 遼
写真:檀上 遼
装丁:檀上 遼
表記:日本語
H180mm×W120mm/90P/2021(初版は2015)
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