1章目の「浩はどうして死んだのか ーーセクシュアルマイノリティの患者さん」から、身につまされます。
少し連絡がつかないでいる間に、恋人が亡くなっていた…
「共通の友人が少なく、親族への紹介もしていない、閉じた関係性… SNSやアプリなどで出会いの場が広がった現代では異性愛者の間でも十分に起こ利うること」
「セクシュアルマイノリティの当事者が医療機関で経験する不利益は、“ご結婚は?”という医療従事者の些細な(つもりの)一言への返答の躊躇いや、問診票の性別欄、病室の男女分けのほか、パートナーの手術の同意書のサインができない、救急搬送時の第一連絡先になれない、性別適合手術を受けることができる病院が日本は非常に少ない等、多岐にわたります」
看護師である木村映里さんの実体験から書かれた文章によって、閉じた関係になりがちなセクシュアルマイノリティの人々の身につまされる話から、社会の周縁にいる人々、弱い立場の人々が受ける医療にまつわる、ままならない物語や抱えている問題が切実に伝わってきます。多く読まれてほしい一冊。
◎出版社レビュー
若手看護師が描く、
医療と社会の現実。
生活保護受給者、性風俗産業の従事者、セクシュアルマイノリティ、性暴力被害者などが、医療者からの心無い対応で傷ついたり、それがきっかけで医療を受ける機会を逸している現実がある。医療に携わる人間は、こうした社会や医療から排除されやすい人々と対峙するとき、どのようなケア的態度でのぞむべきなのか。看護師として働き、医療者と患者の間に生まれる齟齬を日々実感してきた著者が紡いだ、両者の分断を乗り越えるための物語。誰一人として医療から外さないために。
「社会から排除されやすい人々と医療従事者の間には、単なる快不快の問題でもなければ、一部の医療従事者にだけ差別心があるといった類の話でもない、もっと根深く、致命的なすれ違いがあるように思います。マイノリティや被差別的な属性の当事者が積み重ねてきた背景と、医療従事者が積み重ねてきた背景は、社会の中で生きているという意味では地続きのはずなのに、しかしどこかで分断されているような気がする。各々の生きる背景を繋げる言葉が必要だと感じ、書き始めたのが本書です」(「はじめに」より)
◎目次
1章 浩はどうして死んだのか──セクシュアルマイノリティの患者さん
2章 医療が果歩を無視できない理由──性風俗産業で働く患者さん
3章 殴られた私も、殴った山本さんも痛いのです──暴力を振るう患者さん
4章 千春の愛情は不器用で脆くて儚くて──自分の子どもを愛せない患者さん
5章 「看護師が母を殺した」と信じたい、高野さんの息子──医療不信の患者さん
6章 私は生活保護を受けようと思っていました──生活保護の患者さん
7章 飲みすぎてしまう葉子、食べられない私──依存症の患者さん
8章 性暴力被害を受けて、裁判を起こした──性暴力被害者の患者さん
9章 医療が差別に晒される時──医療現場で働く患者さん
終章 医療から誰も外さないために
◇木村映里(きむら・えり)
1992年生まれ。日本赤十字看護大学卒。2015年より看護師として急性期病棟に勤務。2017年に医学書院「看護教育」にて、看護における用語と現実の乖離について、「学生なら誰でも知っている看護コトバのダイバーシティ」というタイトルで1年間巻頭連載を行う。2018年より「note」での発信を開始し、反医療主義、生活保護、タトゥー、性暴力被害といったテーマについて執筆。本作が初の著書となる。
著者:木村映里
出版元:晶文社
表記:日本語
H188mm×W127mm/236P/並製/2020
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