もしもパレスチナの難民キャンプで傷付いた子どもの傍らにいたなら、私たちはその手をとるだろう。ベツレヘムの街で自爆に赴く青年が目の前にいたら、彼の行く手を遮るだろう。だが私たちはそこにいない。
小説を書き、読むという営みは理不尽な現実を直接変えることはない。小説は無能なのか。悲惨な世界を前に文学は何ができるのか。古くて新しい問いが浮上する。
ガザ、ハイファ、ベイルート、コンスタンティーヌ、フェズ……、様々な土地の苛烈な生を私たちに伝える現代のアラブ文学は多様な貌をもつ。しかし各作品に通奏低音のように響く、ひとつの祈念がある。
「「かつて、そこで」起きた、もはやとりかえしのつかない、痛みに満ちた出来事の記憶。もう帰ってはこない人々。[…]作家は、頭蓋骨に穿たれた二つの眼窩に湛えられた深い闇からこの世界を幻視し、彼岸と此岸のあわいで、起こらなかったけれども、もしかしたら起こりえたかもしれない未来を夢見続ける死者たちの息づかいに耳を澄ます。」
小説を読むことは、他者の生を自らの経験として生きることだ。見知らぬ土地、会ったこともない人々が、いつしか親しい存在へと変わる。小説を読むことで世界と私の関係性が変わるのだ。それは、世界のありようを変えるささやかな、しかし大切な一歩となる。世界に記憶されることのない小さき人々の尊厳を想い、文学は祈りになる。
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「ガザを知る緊急セミナー ガザ 人間の恥としての」(2023.10.23)
早稲田大学戸山キャンパスにて
講演:岡 真理
主催:<パレスチナ>を生きる人々を想う学生若者有志の会
■試聴はこちらから↓
https://www.youtube.com/watch?v=-baPSQIgcGc
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講演会「パレスチナ・ガザはいま」(2023.12.10)
沖縄県立博物館・美術館 講堂にて
講演:岡 真理
■試聴はこちらから↓
https://www.youtube.com/watch?v=3XKVf4zgiPY
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著者:岡 真理
出版元:みすず書房
表記:日本語
H195mm×W135mm/320P/2015
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