中国のボーイズラブ(BL)は、1990年代に日本のBLから影響を受けて始まった。現在では、中国BL小説が原作のアダプテーションドラマ『陳情令』を筆頭に、中国BLは世界中で人気を博し中国のソフトパワーにもなっている。厳しいメディア規制の環境下でも発展してきた中国BLをめぐって、人気作品で講じられる適応策やBL・メディア業界に関わる中国の社会情勢を分析する。中国のBL(耽美/Danmei)を論じた、日本語による初の研究書。
◎目次
第一章 現代中国のBL
一 BLか耽美(ダンメイ)か
二 耽美の作品
強攻め・「女性」的な受け
強攻め・強受け
性的描写と物語
第二章 歴史的に見た中国の男性同性愛と耽美
一 耽美と男性同性愛
二 「断袖」「分桃」「龍陽」等々
断袖
亡国の相手
分桃
龍陽
三 隠された耽美
認められていた耽美
今昔の中絶
第三章 現代中国のBL関連の社会事情
一 BL作家の逮捕事件
重罪判決を受けたBL作家―天一
検閲制度
重罪を回避させた権威性―深海
二 BLプラットフォーム
最前線小説サイト―晋江文学城
音声コンテンツの中心地―猫耳FM
第四章 中国のヒットBL
一 『魔道祖師』―検閲を通過できない恋心
奔放な戦士の恋愛VS.英雄同士の性欲のない愛
二 『千秋』―検閲を通過できる悪意
ちびキャラアニメに見られる「開車」
三 『鎮魂』『山河令』―自己検閲した模範作家
四 止まらない権力欲と美の探求
制限
抑制
統制
第五章 日本読者から見る中国BLの魅力と不足―『魔道祖師』のレビューに着目して
一 ストーリー・設定・登場人物
二 性的描写のない感動VS.BLでこそ説明できる論理
あとがき
付録 日本語訳のある中国BL作品
日本語訳のある中国ブロマンス(またはBLが原作のブロマンスとされる)作品
◎プロフィール
周密(しゅう みつ)
広島大学大学院教育学研究科博士課程修了、博士(教育学)。現在立命館大学政策科学部助教。専門はジェンダー論、言語教育、文化研究。主な論文にStrategic mouthing of words: the Chinese bromance drama Word of Honor, censorship and gender stereotypes(Feminist Media Studies, 2023)、「BL小説を原作とした中国ウェブドラマに見られる適応策―検閲と利益の二重螺旋の中で」(『ジェンダー研究』25、2023)などがある。
著者:周密
出版元:ひつじ書房
表記:日本語
H193mm×W135mm/176P/2024
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