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遅れた返事 / ジョンウォン

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2000年代後半を背景に、家族・友人との葛藤を抱えながら成長していく高校生イ・ナムの物語。同性の友人チェグンと惹かれ合うナムの感情が細かく描かれ、叙情的なクィアの青春ストーリーが作家ジョンウォンならではの行間を多くとった文学的表現と相まって、深い余韻を残すグラフィックノベル。 ***** K-BOOK振興会HPの詳しい解説から 主人公は映画サークルに所属する高校生イ・ナム。父はある日突然、家族を捨てて姿を消した。軽食店を営む母は元職場の同僚ワン姉さんにべったりで息子には関心がない。孤独を抱えるナムが多くの時間を共に過ごすのは同性の友人チェグンだ。母には知らせず出かけた仲間との旅行。互いの気持ちを確認したナムとチェグンは雪降る夜にキスをする。しかし、ナムの心には「自分は誰かのそばにいる資格があるのか」という気持ちが徐々に芽生え始めていた。家庭環境の違いや突然の引っ越しをきっかけにふたりはすれ違い、そのまま離ればなれになってしまう。音声で残されたチェグンからの手紙に対するナムの返事、それがこの物語だ。ナムが性的マイノリティーであることにとまどいながらも事実を受け入れていく仲間たち。家を出て行った父と再び過ごす時間。静かに流れる時のなかで、自分を、そして母を理解していく。周囲の環境が変化しても変わらず思うのはチェグンのことだった。―ある日、映画のようなことが起きたりするさ。僕たちはいつかまた出会えるはずだー大学生になったナムは映画祭のポスターを掲示板に貼る。心の奥深くにある感情が愛であることを確認しながら。 「文学の感動と共に社会や人に対する幅広い理解を」をコンセプトに出版社チャンビが贈るマンガ図書館シリーズの1冊。本書の舞台は2000年代後半。ラジカセやMP3が登場し、コミュニケーションの手段は懐かしいスライド式の携帯電話だ。本を開くとゆっくりとした時間が流れ始める。色のない世界に雪が降り煙草の煙がくゆる。淡々とした画風にもかかわらず登場人物の感情やひとつひとつの情景が胸に染みこんでくる不思議な作品だ。韓国では「マンガでありながら小説のような行間を感じる」「ずっとナムを忘れずに生きていく」など感銘を受けた読者の声が次々あがっている。たやすく誰とでも繋がれる現代。そこにきちんとした心は通い合っているだろうか。めまぐるしい変化の時代にのみこまれ、わたし達が過去に忘れてきてしまったものはないだろうか。言いそびれた言葉、伝えられなかった思い……日本の読者も「返事を伝えるのに遅すぎることはない」という作者からのメッセージを受け取ることになるだろう。(作成:髙橋恵美) ◎著者プロフィール ジョンウォン 漫画家。初めての長編『今年のミスク』が2019年優良図書に選定され、2021年「私たちのマンガ賞」を受賞するなど、韓国マンガ界の新しい顔として注目を集めた。現在もウェブコンテンツにおいて短編を発表している。登場人物の内面を繊細に表現し、読者の心に余韻を残す。幾度となく修正し、紆余曲折の末に描きあげたという本作品について「この1冊でナムがナムであるという証明をした気分だ。世界中すべてのナムが幸せであることを願う」と語る。 〜K-BOOK振興会HPより ****** 著者:ジョンウォン 出版元:창비 表記:韓国語 H210mm×W148mm/256P/2022 *Overseas shipping OK *Free shipping on orders over ¥ 10,800 in Japan only. Overseas shipping charges apply.

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