
















2016年に創刊された韓国の写真誌『VOSTOK』。
毎号鋭いテーマを定めて、新しい感覚の写真と優れた文学の境界を往来する美しい写真誌です。
2022年3月に発行されたvol.32のテーマは“悲しみに負ける方法”。取り除こうとしてもまとわりつく、すすぎ洗おうとしても洗い落とせない、追い出そうとしてもずっと居座り続ける、多分悲しみとはそういうものかもしれません。日差しの煌めきも、笑い声も、新緑の美しさも、幸運の瞬間にも、影が落ちてくる…悲しみには勝つことができない、おそらくただ耐えるしかない。『VOSTOK vol.32』では、どこでもどんな時でも、理由もなく残存する悲しみを描いています。
なかでも、中国に住む今10代のクィアたちと、彼らの幼少期の記憶を重ねた作品を撮る、中国の写真家Bowei Yangさんの作品“Soft Thorn”にとても惹かれました。
2013年からBowei Yangさん撮りはじめたという“Soft Thorn”シリーズは、生まれ育った杭州を離れ、北京とロンドンを行き来して活動する彼が、離れたからこそ感じる故郷の香りを記録したいとはじめたそうです。
典型的なキリスト教の家庭で生まれ育った彼は、そのせいで自ら他人とは違う性的嗜好を持っているという事実を自覚した時、深いジレンマに陥るしかなかったという。 両親にカミングアウトすることは、自分のアイデンティティを明らかにすることではなく、罪を告白することだったからです。 いよいよ自分を偽ることができなくなった15歳の時、思い切ってカミングアウトした彼に課された対価は望まない心理治療の強要でした。 その記憶やトラウマを抱えながら、自分のアイデンティティをもとに作業を続けるBowei Yangさんは、中国で暮らすクィアの若者たちと、彼らの幼少期に刻印された記憶とイメージを呼び出し、再構成した作品を制作し続けています。
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他にも、セックスやバイオレンス、ラップ・ミュージック、多文化共生に光を当てた『川崎』の作品でも知られる細倉真弓さんの“Crystal Love Starlight”なども収録。
編集:VOSTOK編集部
出版元:VOSTOK PRESS
表記:韓国語
H240mm×W170mm/224P/2022
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