複数形の、台湾文学。
多元的なアイデンティティが絡み合う現代台湾が立ち現れる。
「台湾文学ブックカフェ」シリーズ第三巻は、近年の佳品である十一篇の短編小説集を集めたアンソロジーであり、うち八篇は2010年以降の作品となっています。
表題作『プールサイド』は、1993年生まれで台湾期待の新人作家、鍾旻瑞の初翻訳作品。大学進学する夏休み、プールサイドの監視員のバイトをはじめた少年が、泳ぎを教えることになった小学生の父親と関係を持つことによって、戸惑いながらも自分のセクシュアリティの広がりの中で、アイデンティティを探す物語。また李桐豪の「犬の飼い方」では同居するゲイカップルとふたりの仲介役のように存在する犬の関係を描く。他にもセクシュアルマイノリティが登場する短編小説が複数収録されており、台湾における同志文学(クィア文学)の多様さを知ることができるアンソロジーです。
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本アンソロジーは、台湾のさまざまな側面を「いま」という切り口で瑞々しく描いた作品群である。台湾の自然、宗教、軍隊の生活、セクシュアルマイノリティ、東南アジアなどからの新住民、性暴力、原住民族…これらの作品を通じて、そこに見え隠れする、台湾の文化や歴史にも関心を持っていただければ幸いである。
〜あとがきより抜粋
著者:陳思宏、鍾旻瑞、陳柏言、黄麗群、李桐豪、方清純、陳淑瑤、
呉明益、ワリス・ノカン、川貝母、甘耀明
日本語訳: 三須祐介
編集:呉佩珍、白水紀子、山口守
出版元:作品社
表記:日本語
H192mm×W135mm/246P/並製/2022
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