









ソウル国際プライド映画祭が制作した韓国のクィア映画史の本3部作、2021年11月に開催された映画祭に合わせて出版された3作目が『The History of Korean Lesbian Cinema / 韓国レズビアン映画史』。
韓国で制作されたレズビアン映画を発掘し、レズビアン映画の理論的枠組みと批評的視点さらに、レズビアン映画をどう深く探究することができるか、さまざまな視点を込めた本です。
2019年に制作された『The History of Korean Queer Cinema / 韓国クィア映画史』に収録されなかった作品から21本をポスターと一緒に紹介。近年、日本でも知られる作品では『Our Body』『ユンヒへ』などが掲載されています。21本目に紹介されている『Take Me Home / ツタの葉』は、40代の女性“ウンス”と20代の女性“イェウォン”のレズビアンカップルが、ともに大切な存在として分かち合って暮らしていても、パートナーが病気の時になった時、傍で看病するような家族になる事が、同性愛者たちにとってどれほど高い壁であるかを描いた作品。
現在日本で公開中の『ユンヒへ』の映画評論、『はちどり』『Our Body』『ユンヒへ』をメインに同時代の韓国クィア映画の論考も収録されています。四章目のレズビアン映画を演出した監督たちとのインタビューでは、『私の少女』のチョン・ジュリ監督、『はちどり』のキム・ボラ監督、『Take Me Home / ツタの葉』のハン・ジェイ監督ほか、5人の監督のインタビューが収録されています。
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レズビアンに関する対話は、女性、性的少数者に限られていません。
フランスの作家で、クィア・フェミニズムの理論家、モニック・ウィティッグ(1935-2003)は、「女性」という言葉は、異性愛システムならびに異性愛経済システムの中でのみ意味を持つと考え、レズビアンは「経済的・政治的・イデオロギー的に女性ではない」と主張しました。ウィティッグのこのような主張は、根本的に「女性性」という概念を解体し、多角化させます。 「女性」というカテゴリーは、ただ「男性」というカテゴリーとの関連性においてのみ存在し、「男性」との関連がなければ「女性」なるものは存在しえない、レズビアンを、異性愛制度と男性中心のジェンダーシステムから外れた存在として捉えようとしています。
レズビアン映画も同じでしょう。 女性、レズビアンが登場する映画にかぎって「レズビアン映画」を思惟することもできますが、むしろ社会体制が主導してきた「女性性」を解体して、これに挑戦するすべての映画の中に、レズビアン的要素が入ってくるのです。『韓国レスビアン映画史』は、韓国映画をクィアの視点から拡張して捉え、歴史の中に実在してきた性的少数者たちの姿を、引き継ぐ機会を提供したい。『The History of Korean Lesbian Cinema / 韓国レスビアン映画史』は、様々な映画の中に描かれてきたレズビアンたちと共に生き、彼女たちの人生を少しでも分かち合いたいという思いで制作しました。
『The History of Korean Lesbian Cinema / 韓国レスビアン映画史』は全部で四つの章で構成されています。一章目は韓国の様々なレズビアン映画を紹介し、それらの映画をどのように観ることができるか、答えの見つからない様々な悩みを一緒に分かち合います。 二章目は韓国のレスビアン映画、計21本の映画を詳しく紹介しています。 三章目は、特定の作品を通じてレズビアン映画に対する概念を再定義し、もう少し拡張した視点でレズビアン映画を観る方法を探求します。 四章目はレズビアン映画を演出した監督たちとのインタビューを収録しています。
〜ソウル国際プライド映画祭レビューより
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出版元:ソウル国際プライド映画祭
表記:韓国語
H210mm×W145mm/268P/2021
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*Free shipping on orders over ¥ 10,800
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