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behind_the_door / 林家夯 lin jaihang

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これは、部屋を舞台とした写真プロジェクトであり、2022年に始まりました。プライベートな空間と感情の交流を捉えることで、現代の人間関係における急速に生まれる曖昧なつながりを探求しています。これらの写真は単なる感情の記録ではなく、視覚的な実験でもあります。短期間で築かれる関係の中で、欲望、脆さ、不確実性がどのように絡み合うのかを、カメラのレンズを通して明らかにしようとしています。 写真家と被写体の関係は、速く、そして一時的です。本プロジェクトは、まずインターネットを通じて協力者を募り、見知らぬ人々の部屋へ足を踏み入れることから始まります。撮影は、個人情報を公開せずに行われ、双方がこの極めてプライベートな空間の中で自由に関わることを了承したうえで進められます。この関係は、伝統的なドキュメンタリー写真とは異なり、むしろ欲望と感情を引き出すプロセスに近いものです。各撮影は単なる記録ではなく、曖昧さや戸惑い、得たり失ったりする感情を映し出すことを目的としています。 このプロジェクトにおいて、「部屋」は物理的な空間であると同時に、感情的な空間の象徴でもあります。そこには、プライベートと暴露の緊張感が共存しています。部屋は個人の領域でありながら、感情の交差点でもあります。そこにあるのは、関係の始まりや終わりであり、欲望の具現化であり、喪失の隠喩でもあるのです。 見知らぬ約100人と関わった後、私はある種の不安と焦燥を感じるようになりました。これらの短い交流のたびに、私は相手を理解するというよりも、ある感情そのものに執着しているように思えたのです。写真に映る曖昧さや不確実性は、まるで「この関係は決して深く根付くものではない」と告げているかのようでした。そして、こうした儚い関係の繰り返しは、私をますます閉じ込めていく——決して完全に開かれることのない扉の向こう側に。 この実験は、他者の感情世界を探るだけでなく、自分自身の感情をも見つめ直す機会となりました。撮影のプロセスの中で、私は感情や欲望を試し、時に迷い込んでいました。相手の感情を捉えるたびに、自分の心の奥にある不安と向き合うことにもなったのです。シャッターを切るその瞬間瞬間が、感情のぶつかり合いと流動の連続でした。写真は単に「他者」の感情を記録するものではなく、私自身の感情の迷宮を映し出すものでもあったのです。 写真集『Behind the Door』は、部屋という極めて私的な空間を通じて、現代のクィア・カルチャーにおける感情の形成の矛盾と複雑さを描き出します。これらの写真は、一時的な関係の記録であると同時に、「親密さ」「欲望」「感情の境界」に対する深い考察でもあります。このプロジェクトを通じて、写真は単なる記録手段ではなく、感情への介入そのものとなり、伝統的なドキュメンタリー写真の枠を超えていきます。曖昧さや不確実性が強烈なビジュアル言語へと変換されるのです。 一枚一枚の写真は、他者の感情を写し取るだけでなく、私自身の内なる世界への問いかけでもあります。 ****** ◎プロフィール 林家夯|lin jaihang 高雄出身、台湾芸術大学卒、シェムリアップ、上海、深圳、東京を経て、現在はグラフィックデザイナーとして台北に在住。 ****** 著:林家夯 装丁デザイン:犬句設計工作室 製本:糸かがりPUR製本 H210mm×W148mm/160p/2024 *Overseas shipping OK *Free shipping on orders over ¥ 10,800 in Japan only. Overseas shipping charges apply.

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