







1994年の夏のソウル、餅屋の両親、優等生の兄、問題児の姉と暮らす、中学2年生の女の子ウニが主人公。
蜃気楼のような未来、家父長制の家庭で、暴力や理不尽に言葉を飲み込みながら、小さな体で1秒間に90回羽ばたきするハチドリのように一生懸命生きるウニ。そんな彼女が唯一、羽休めをできたのは漢文のヨンジ先生といる時だった。
日本では95年に阪神大震災や地下鉄サリン事件など大きな出来事があったけれど、韓国では94年に大きな出来事があって、その年の暑かった夏の静かな物語……中学生のウニの目から見た、家族、ジェンダー、そして社会。
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「世界は不思議で美しい」
映画『はちどり』はどのようにして生まれ、なぜ世界中の人々の心を魅了したのか。
思春期のうつろう心、家族との葛藤、変わりゆく社会、ジェンダー…。
1994年の韓国から現在地までを紐づける、
微細に紡がれた記憶の記録集。
<ノーカット版の完全版シナリオ>
韓国語訳者の第一人者によって翻訳された、
映画未収録シーンを含んだ完全版シナリオを全文公開。
<映画から社会を見つめる4つの寄稿>
日本でも注目を浴びる韓国の作家・チェ・ウニョン、キム・ウォニョンなど、
豪華な執筆陣によって綴られた、映画を介して社会をみつめる珠玉の寄稿集。
—わたしたちの個性をありのまま認めてもらえていたならば、大人になってからの人生はどれほど変わっていただろうか。
チェ・ウニョン
—肉体は死んでも声は生きている。思いもよらぬ事件で命を失った存在から、人生の豊かさを語る音声が流れる。
ナム・ダウン
—社会全体が生存と地位の上昇をめぐって競い合う韓国社会において、その秩序に忠実に従おうとする人々には不安という情緒が根幹にある。
キム・ウォニョン
—いまの時代の愛というものは、その相手がペットであれ、伴侶であれ、友達であれ、愛する相手より、愛の主体が“愛する”自分を愛するだけである。
チョン・ヒジン
<絶え間なき作家同士の対談>
2日間にわたり、女性、ストーリー、創作について語り合った、キム・ボラ監督とアリソン・ベクダル。
対話を重ねるほどに共振する、その作家性。
<日本特別企画・キム・ボラ監督インタビュー>
映画の公開から4年の時を経たキム・ボラ監督に、いま・ここでの話を聞いた。撮影時の貴重な秘話やスチール写真を交えて語られた、邦訳版オリジナルのロングインタビュー。
◎目次
1.|作家のことば
2.|シナリオ
3.|あの頃のウニたちへ / チェ・ ウニョン
4.|ヨンジ、わたしたちが失ってしまった顔 /ナム・ダウン
5.|崩壊する夢のなかで誰かと出会い、別れるということ / キム・ウォニョン
6.|いま、ここの前日譚『はちどり』/ チョン・ヒジン
7.|女性、ストーリー、創作について/キム・ボラ + アリソン・ベクダル
8.|特別インタビュー 『はちどり』から4年の時を経て
9.|感謝のことば
10.|日本版に寄せて
著者:キム・ボラ/チェ・ウニョン/ナム・ダウン/キム・ウォニョン/チョン・ヒジン/アリソン・ベクダル
日本語訳:根本理恵
出版元:オークラ出版
表記:日本語
H210mm×W148mm/320P/2023
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