
『82年生まれ、キム・ジヨン』の多大な反響と毀誉褒貶、著者自身の体験を一部素材にしたような衝撃の短編「誤記」ほか、10代の初恋、子育ての悩み、80歳前後の姉妹の老境まで、全世代を応援する短編集。
貧富の格差、家父長制、女性差別、誤解。悩みながらも、シスターフッドと自分のアイデンティティを大切にする女性たちの物語。
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介護施設にいる姉を見舞う妹の思いを描く「梅の木の下」
ある日、父が家出した。ユーモラスな筆致の「家出」
会社内の女性差別や不合理が現れる「ミス・キムは知っている」
「義母」との世代を超えたシスターフッドを描く「オーロラの夜」
母娘の意識のずれと、アップデートの必要性を伝える「女の子は大きくなって」
コロナ渦での小学生の淡い恋を描いた「初恋2020」など、全7編
著者あとがき
解説 針を動かす時間、増殖するハーストーリー 金美賢(キム・ミヒヨン)
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訳者あとがき
まさに『キム・ジヨン』以降の韓国社会をうかがわせる作品が「誤記」である。著者はあとがきで「すべてが私の体験談ではありません」と語っているが、すべてではない、という言い回しが、むしろ作品の発表後、著者を襲った日々の苛烈さを想像させる。
はからずも社会に一石を投じる作品を発表した小説家は、その後、さまざまな形の誹謗中傷にさらされ、筆を折る一歩手前まで追い込まれる。作品によって、新しい世界の訪れを期待した読者には知りえない、別な形の暴力の出現。だが、物語は加害と被害という二元論では終わらない。作品によって女性たちに呼び起こされたもの、語られ始めたことば、語り直される物語が、濃密な筆致で記されていく。何かが大きく編み直される予感が漂う。
〜訳者あとがきより
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著者:チョ・ナムジュ
日本語訳:小山内園子、すんみ
出版元:筑摩書房
表記:日本語
H188mm×W127mm/272P/2023
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