当事者たちによるSNSでの意見表明がどのようにして、行政、一般の人々等を巻き込み、全国へと伝播し、同性パートナーシップ政策を成立させたのか。詳細な経緯記録とその分析をもとに、多数決により常に敗北するマイノリティの展望と希望に繋ぐ。
政治とは、人々と制度をつなぐ営みだ。著者は地方議員として、NPO代表として、その現場にいた。本書は、無名の人々がデジタル技術を活用して〈声〉を獲得し、制度を実現させた過程を、実証的に分析している。社会学と政治学を学際的に駆使した労作であり、21世紀における民主主義の可能性を示した希望の書である。
〜小熊英二(社会学者)
◎目次
はじめに
序章
第1節 本研究の背景と目的
第2節 先行研究の整理
【2―1】社会運動に関する先行研究
【2―1―①】現代の社会運動の特徴
【2―1―②】フレーミング理論
【2―1―③】フレーミングの成否と政治的機会構造
【2―2】自治体の政策過程に関する先行研究
【2―2―①】自治体の政策転換
【2―2―②】首長・議員・官僚の行動原理
【2―2―③】議会における意思決定過程
【2―2―④】政策波及モデル
第3節 研究の視点と学術的貢献
第4節 リサーチデザイン
【4―1】対象と手法
【4―2】調査の詳細
第5節 本稿の構成
第1章 新政策の採用――渋谷区
第1節 「同性パートナーシップ条例」の制定過程
【1―1】制度の提案に至る経緯
【1―2】庁内での議論の開始
【1―3】マスメディアによる争点形成
第2節 運動家によるフレーム形成
【2―1】ハッシュタグ運動
【2―2】インターネット署名活動
第3節 区長・議員・職員への影響
【3―1】区長や職員への影響
【3―2】自民党議員への影響
【3―3】公明党議員への影響
【3―4】SNSによる影響
第4節 本章のまとめ
第2章 波及元――世田谷区
第1節 「世田谷区パートナーシップ宣誓」の制定過程
【1―1】制度導入の訴え
【1―2】当事者の可視化
【1―3】要綱での導入
【1―4】SNSでの反応
第2節 制度の導入決定後に行われたフレーミング
第3節 本章のまとめ
第3章 政策波及――札幌市
第1節 「札幌市パートナーシップ宣誓制度」の導入過程
【1―1】運動の歴史
【1―2】世田谷区にならった団体の設立
【1―3】要望書の提出
【1―4】議会での審議開始
第2節 運動家によるフレーム形成
【2―1】LGBT当事者の住民票を集める運動
【2―2】ハッシュタグ運動
第3節 市長・議員・職員への影響
【3―1】市長や職員への影響、および自民党議員への影響
【3―2】SNSによる影響
第4節 本章のまとめ
第4章 政策波及――港区
第1節 「みなとマリアージュ」の導入過程と運動家によるフレーム形成
【1―1】個人による運動開始
【1―2】請願書の提出
【1―3】公明党の賛成
【1―4】制度導入の答弁
第2節 区長・議員・職員への影響
【2―1】議員への影響
【2―2】公明党議員、および区長、職員への影響
【2―3】SNSによる影響
第3節 本章のまとめ
終章
第1節 一連の政策波及におけるSNSを介したフレーム伝播
第2節 モデル化
第3節 社会運動によるSNSの活用が有効になる条件
第4節 波及過程における四自治体の位置付け
第5節 フレーム伝播による当事者、賛同者の可視化
第6節 残された課題
おわりに
付録
【付録1】同性パートナーシップ制度を導入した自治体の政策過程一覧
【付録2】同性パートナーシップ制度の波及過程に関する年表
著者:横尾俊成
出版元:新曜社
表記:日本語
H188mm×W128mm/272P/2023
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