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京城のモダンガール ―消費・労働・女性から見た植民地近代

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1920-30年代、植民地朝鮮に資本主義が押し寄せ、恐怖と快楽が背中合わせだった京城(現・ソウル)。百貨店・劇場・映画館・最新の公共施設が建ちならぶ近代都市の街路を、断髪に洋装の「モダンガール」が闊歩した。植民地支配と近代化のはざまで登場した朝鮮のモダンガールは、ショップガールやバスガールなどの新職業婦人・妓生(キーセン)・女給・女学生・女工などさまざまな階層からなっていた。商品とイメージを消費し、労働力になり、自ら商品とされつつ、新しい生を生きようとした。 当時、「正体不明の女」「あやまてる女(モッタン・ガール)」とひとくくりにされた「モダンガール」の経験とは何だったのだろうか。 たとえば、朝鮮総督府は日本で不足している米を確保しようと「朝鮮産米増殖計画」を実施、農村は疲弊して多くの農民が流民化した。娘たちも移動し、一部は海を渡って関西の紡績工場などの女工になり、あるいは炭鉱近くの朝鮮料理店で酌婦や女給になった。彼女たちもまた、パラソルやストッキング、都会の生活に憧れ、活動写真に夢中になったモダンガールのひとりだったにちがいない。 女たちを街路へ、国境の外へと押し出した夢や欲望、困難を追い、忘れられた声を復元し、見えていなかった近代を描く韓国歴史学のニューウェイブ。 ◎目次 はじめに 女性をとおした、都市をめぐる問い 京城・関連地図 第一章 近代都市と女性 1 モダニティ、スペクタクル、女性 2 植民地都市京城と散策 3 都市に出た女性散策者(フラヌーズ) 第二章 1920-30年代 大衆メディアと「モダンガール」表象 1 「モダンガール』表象の中の女性たち──「モダンガール」「妓生」「ある女学生」「女給」 2 「モダンガール」、模倣と亀裂の痕跡 3 「スペクタクル」としての「モダンガール」とジェンダー化した凝視 第三章 近代の前方に立った女たち 1 女学生と「不良少女」 2 女は何を求めているのか──消費する女たち 3 モダニティの販売者──百貨店の「ショップガール」 4 「モダンガール」の境界線──妓生と女給 5 スタイルと趣味──近代のハビトゥスとジェンダー 第四章 女性労働の場としての近代都市空間 1 「職業婦人」と都市空間 2 都市空間と親密性の商品化 (一)料理店と妓生──職域から労働へ (二)カフェと女給 (三)近代家庭と「食母/乳母」 3 女工の目で見た都市の風景 第五章 国境を超える女たち──労働者、あるいは商品としての植民地女性 1 日本「内地」の朝鮮料理店と朝鮮人妓生 2 日本「内地」」のカフェと朝鮮人女給 3 日本の工場に行った朝鮮人女工たち おわりに──攪乱と交渉、逸脱と転覆──都市で女が生きるかたち 日本の読者のみなさまへ──歴史の中で忘れられた声を求めて  ソ・ジヨン 訳者解説──「モダンガール」の重なりあう経験  高橋梓 訳者あとがき──日本で、今、植民地のモダンガールを語るということ  姜信子 ***** ◎著者プロフィール 徐智瑛/ソ・ジヨン/서지영 韓国出身。西江大学校英文学科卒業、国語国文学科修士課程修了、同博士課程修了。韓国学中央研究院学術研究教授、高麗大学校民族文化研究員HK研究教授、梨花女子大学校韓国女性研究員研究教授を歴任。現在、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学アジア研究学科博士課程在学中(Ph.D Candidate、文化史専攻)。研究分野は女性史、文化史。単著に『歴史に愛を問う——韓国文化の愛と系譜学』(イスプ、2011年)。共著に金賢珠・朴茂瑛・イ・ヨンスク・許南麟編『朝鮮の女性(1392-1945)——身体、言語、心性』(クオン 、2016年)、 韓国女性研究所編『女性の身体——視覚、争点、歴史』(創作と批評社、2005年)など。 著者:ソ・ジヨン 翻訳:姜信子、高橋梓 出版元:みすず書房 表記:日本語 H188mm×W128mm/400P/2016

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