映画を観た後、 劇場を出ると、 さっきまでと少しだけ世界が違って見えることがあります。 それはいい映画に出会った時に訪れる体験です。 同じ期間に、 同じ劇場で、 同じ監督の作品を観た観客たち。 それぞれが映画を観た日に劇場を出た後、 少しだけ違って見えた世界について綴った15人分の日記を束ねた一冊。 映画が幹になって、 そこから広がっていく豊な枝葉の物語。 こんな素敵な映画の味わい方があったなんて!
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シャンタル・アケルマン ―カメラの画角から外されてきた女性の時間を記録し、うつ病と生きながら、クィアとしてのアイデンティティとユダヤ人としてのルーツを漂い、自らの身体を映画の正面に据え、見つめ続けた映画監督。
ほんの数作をのぞいて日本で劇場公開されてこなかったアケルマンの映画が、5作まとめて大々的に上映された渋谷の映画館での21日間。 全108回の上映のいずれかを目撃した日に書かれた、 15人の日記を1冊に綴じました。
離れ離れになったままの友人、何度も助けてくれたフェミニスト、片思いしているSNSのスター、オフィスですれ違うだけの後輩…映画を見てください・日記を見せてくださいと頼まれてから、街を歩いて映画を通過し、秘密を打ち明けたり、未発見の分析を映画に見出す。有名無名に関わらず、各々の歴史を経てアケルマンの思考を通過した2022年のある地点が、テキスト、写真、イラストなど、それぞれの言語と文脈で解釈された「日記」に降り積もる。
恐るべき、愛すべき映画界の先駆者である、シャンタル・アケルマンのファンブックです。
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◎登場するアケルマン監督映画(順不同)
・『私、あなた、彼、彼女』(Je Tu Il Elle)
・『ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディールマン』(Jeanne Dielman, 23, quai du Commerce, 1080 Bruxelles)
・『アンナの出会い』(Les Rendez-vous d’Anna)
・『囚われの女』(La Captive)
・『オルメイヤーの阿房宮』(La Folie Almayer)
企画・編集・発行:麦島汐美
著者:楠田ひかり、宇部広樹、小野寺里穂、伊藤まりん、エミリー、本村宗一朗、原田時枝、朱、駒ヶ嶺薫平、mari takahashi、とれたてクラブ、明澄、川上さわ、横山裕香、長沼航
表記:日本語
H184mm×W128mm/158P/2022
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