
LGBTの権利をめぐって日々議論が巻き起こっている。しかしそもそも日本において異性愛規範が強化されたのは西洋化以降であり、アジアでは豊かな性別越境文化が築かれていた。「伝統的」な性とは何か? 抑圧の中で文化をつないだ性的マイノリティたちの歩みを多彩な文献に基づいて活写し、現代の「性の多様性」に一石を投じる。
◎目次
はじめに――地に足の着いた「多様性」へ
Ⅰ 「性」の多様性の再検討
第1章 近代的ジェンダー・セクシュアリティ観を疑う
第2章 性別越境文化の論理
第3章 同性間性愛文化の普遍性
Ⅱ 日本の性愛文化史――中世から現代へ
第4章 藤原頼長のセクシュアリティ――『台記』にみる男色関係
第5章 薩摩藩における男色の系譜――「兵児二才(へこにせ)」制と学校文化
第6章 説話の中の性別越境――江戸相撲、強豪力士は女だった?
第7章 「文明開化」は抑圧の始まり――異性装禁止とその拡大
第8章 近代社会と男装者――女性という社会的制約の中で
第9章 女装世界の二〇世紀――トランスジェンダー・カルチャーの構造
第10章 レズビアンの隠蔽――概念の欠落とロールモデルの不在
Ⅲ アジアの性別越境文化――インド・中国・朝鮮半島
第11章 インド――「ヒジュラ」に学ぶサード・ジェンダー
第12章 中国――女装の美少年・「相公(シャンコン)」
第13章 朝鮮半島――芸能集団「男寺党(ナムサダン)」の稚児とその起源
Ⅳ 歴史の中の多様な「性」
第14章 「伝統的」な「性」の在り様とは何か?
著者:三橋順子
出版元:岩波書店
表記:日本語
H188mm×W129mm/392P/2022
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