
「当事者」と出会い、「性的マジョリティ」としての自己のまなざしを問い直すとともに、性教育実践を創り上げてきた3人の教師たちの語りから、こんにちのクィアペダゴジーのエッセンスを明らかにしていく。
クィアペダゴジーとは、ヘテロノーマティブ(異性愛中心的な性規範)な教育実践や学校のあり方を改革し、ジェンダー・セクシュアリティといった〈性〉に関わる権力性を問い直す教育実践のこと。
すべてのジェンダー・セクシュアリティの子どもが大切にされる場をつくりたいと願う方に届けたい1冊。
◎目次
第1章 「自己紹介」としての研究的位置づけの紹介
1.どうして私がこの研究を?
2.先行研究の整理からつかんだこと
第1部 気づく
第2章 「普通」の人たちにとっての同性愛者
1.JASE設立当初の同性愛者のとらえられ方
2.性教協における同性愛者のとらえられ方
第3章 画期としての1987年と同性愛プロジェクトの誕生
1.「アメリカ性教育研修旅行」の目的と旅順
2.同性愛/同性愛者との邂逅
3.動く木谷さんと得られた「気づき」
第2部 立ちあがる
第4章 認識を変えるきっかけとなった「アンケート問題」
1.同性愛プロジェクト、始動
2.猛省、そして、問われる教師たち
第5章 「私は、エゴイストでナルシストです。」―木谷麦子の問い直し
1.同性愛者のおかれている社会状況の再考
2.「マジョリティとしての女性」という立場性を問い直す
第6章 「カルチャーショック」と女性の自立―原田瑠美子の問い直し
1.「ドキッ」とした経験
2.「女性の自立」は誰の自立?
第7章 「そこに生きる人たち」と科学との乖離―貴志泉の問い直し
1.「一人前」へのプレッシャー
2.問われるセクシュアリティ
3.当事者抜きの「科学」の問い直し
4.第2部のまとめ
第3部 育てる
第8章 「アンケート問題」以降における同性愛プロジェクトの活動
1.性教協全体を巻き込んで
2.『新しい風景』という集大成
第9章 子どもたちへ伝える知/子どもたちと問い直す知―クィアペダゴジーの萌芽
1.木谷麦子実践「禁忌はどこまで崩せるか」の意義
2.貴志泉実践「体育理論の中で同性愛を語る」の意義
3.原田瑠美子実践「ホモって、染色体異常?」の意義
4.クィアペダゴジーとしての到達点と課題
◎著者プロフィール
堀川 修平
1990 年北海道江別市生まれ。東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。専門は、日本の性教育実践と実践者の歴史・性的マイノリティ運動の歴史。埼玉大学、立教大学ほか非常勤講師。一般社団法人“人間と性" 教育研究協議会幹事。『季刊セクシュアリティ』編集委員、日本子どもを守る会『子ども白書』編集委員。主な論文として、「日本のセクシュアル・マイノリティ運動の変遷からみる運動の今日的課題―デモとしての『パレード』から祭りとしての『パレード』へ―」(日本女性学会『女性学』23、2015)、「“人間と性" 教育研究協議会における性の多様性に関する実践史―教育者の同性愛観に着目して―」(同時代史学会『同時代史研究』11、2018)。
著者:堀川 修平
出版元: エイデル研究所
表記:日本語
H190mm×W132mm/288P/2022
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