矢部さんとは、デモやパレードの路上でよく会います。そういった現場での矢部さんは、軽やかに移動しながら、瞬間、瞬間を逃さないように、機敏にシャッターを切っていてかっこいい。ほんの瞬間に相手の懐にスッと入ってシャッターを切るあの間合いは、人柄と才能だなぁと感服するのです。
新聞記者として働きながら、矢部さんが現在暮らしている横浜の街で出会った人々を撮影したポートレイト集『この街で』は、デモやパレードの現場とはまた違った、日常のゆったりとした時間を感じるフォトZINEです。声をかけなければ風景のひとつだったかもしれない街の人々が、写真を介することで、いつかどこかで会った誰かのようにそこに存在して、生き生きとしてくるから不思議です。
黒インクのリソグラフで刷られた写真は、その人の表情だけでなく、そこに差し込んでいる光もとても美しく描き出しています。写真に添えられた矢部さんのテキストも優しい。「この世界も案外わるくないかも」と思えるような、小さな愛おしい瞬間がこのZINEには宿っています。
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学生時代にカメラを手にした矢部真太は当初、特定秘密保護法や安保法案に反対するデモを行っていた同世代の学生たちを皮切りに、いきいきとした被写体を主に選びながら写真家として活動してきた。卒業後は新聞記者として働きつつ、新たな道を模索している。はじめての写真集『この街で』は、活動の拠点である横浜、とくに白楽や妙蓮寺など東横線沿線のまちに暮らすひとびとのポートレートだ。名機makina67を使って撮影したものを、生活綴方のリソグラフで印刷。ふだん接点のない“名もなきひと”が突然、物語を帯びて眼前に現れてくるはず。
〜出版社レビューより
◎著者プロフィール
矢部 真太 / Shinta Yabe
新聞記者・写真家。1992年生まれ。小笠原諸島父島で育つ。大学卒業後、地方新聞社に入社し、ラグビーやプロ野球などスポーツを中心に取材。2016年には京都国際写真祭「KG+」にて展示。現在は横浜市白楽に在住している。
著:矢部真太
編集:中岡祐介(三輪舎)
出版元:生活綴方出版部(印刷・製本)
表記:日本語
H257mm×W182mm/56P/2022
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