
1982年から新宿三丁目に灯りをともし続けているゲイバー“Tac's Knot"。その店主である大塚隆史(タック)さんが書いた『二人で生きる技術 幸せになるためのパートナーシップ』。
先日、翻訳出版されたばかりの『女ふたり、暮らしています。』で、これからは旧来の男女の結婚、血縁によらない、もっと多種多様な「分子家族」が増えていくだろうと書かれていましたが、先駆けること2009年に出版された『二人で生きる技術』には、タックさんが実践してきた「分子家族」を作っていく歩み、「分子家族」を長く続けるための技術が、読者に語りかけられるように丁寧な言葉で綴られていました。
この本は面白い構成になっていて、これから誰かと暮らすことを模索している人たちへ、それには技術が必要と考え、その技術をわかりやすく学べる作りになっているのですが、横軸が関係づくりの具体的な方法だとしたら、縦軸ではタックさん自身のライフストーリーと、その時々の性的マイノリティをめぐる社会の状況を知ることができるような本になっています。
2019年にNHKのETV特集で放送されたドキュメンタリー『Love 1948-2018 ~多様な性をめぐる戦後史~』では、日本の多様な性をめぐる戦後史を、タックさんを主人公にして描いていましたが、この本を読むとより繊細に当時のタックさんの心情や、社会の空気を感じられ、グッと心を掴まれることでしょう。久しぶりに読み返してみて、この本が書かれた12年前から性的マイノリティをめぐる状況は少しずつ変わってきているものの、法や制度のサポートがもっともっと必要だと改めて思いました。
◎出版社レビュー
「長い付き合いを応援する」新宿のゲイバー「タックスノット」。
同店の店主である大塚隆史が自らの経験を元に、同性愛者に限らず、パートナーとの関係に悩むすべての人に説く、二人が一緒にいるために必要な「技術」。
◆担当から一言
アラサー真っ只中、30歳独身男子です。18歳のときから、10年以上ひとり暮らしです。洗濯、炊事、掃除など、生活するために必要なことは、一応、ひと通り全部出来ます。ずっとひとりでもまあいいか、というのが今のところの本音です。
著者の大塚隆史は、「精神的に自立した二人の人間が、一緒に生きるためにはなにが必要か?」を、自らの歩んできた道(幼少期から)を辿りながら、ひとつずつ、丁寧に説いていきます。
恋愛感情を越えた、パートナーシップを作り上げるためには、技術が必要だ、と。
好きな人と一緒にいるためには、どうしたらいいのだろう? そんな問いを抱えている人には、考えるためのヒントがふんだんに織り込まれている一冊です。
[担当編集・高橋大輔]
◆著者プロフィール
大塚 隆史(オオツカ タカシ)
その昔、一世を風靡したラジオ番組『スネークマン・ショー』に参加し、ゲイのポジティブな生き方を発信。これに影響を受けたゲイは数知れず。1982年にバー『タックスノット』を新宿に開店。現在に至るまで多くのゲイやレズビアンの相談相手として幅広い支持を得ている。この店の人的交流をベースに生まれた別冊宝島のゲイ三部作『ゲイの贈り物』『ゲイのおもちゃ箱』『ゲイの学園天国!』(すべて宝島社)を責任編集。著書に『二丁目からウロコ』(翔泳社)、訳書に『危険は承知/デレク・ジャーマンの遺言』(発行・アップリンク/発売・河出書房新社)がある。また、長年にわたり造形作家として数多くの作品を生み出し、独特の世界観を披露し続けている。
◎タックスノットHP
http://www.asahi-net.or.jp/~km5t-ootk/introduction.html
タックスノットはセクシュアリティに関係なく、どなたでもお越しいただけます。月曜日にはloneliness booksの本を少しだけ持ち寄って、カタミがバーテンに入っております(^^)
ぜひ、お越しください。
著者:大塚隆史
カバー写真:森栄喜
出版元:ポット出版
表記:日本語
H188mm×W128mm/280P/2009
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*Free shipping on orders over ¥ 10,800
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