






若者たちのデモ、ブームになったタイBL… 2020年、タイから伝わってきたそんなニュースをSNSで目にして思い出したのは、以前、東京に遊びに来ていたタイの男の子とご飯を食べていた時、キラキラした瞳でポップカルチャーや仕事のことを話していた彼が、政治の話になったとたん瞳が曇って「今のタイの政治は本当に酷いんだ」と話してくれたことでした。
“微笑みの国”ということと、インディーズの素敵なバンドがたくさんあることくらいしか、タイについて知らなかったので、彼が具体的にどんなことに怒っているのかその時はちゃんとわかりませんでした。でも最近のニュース解説などを聞いて、あの時、彼が何に怒っていたのか少しずつわかるようになってきました。
そんなタイ初心者の自分にとって、とてもタイムリーで読み応えがあったのが、鹿児島の大学生たちが作ったzine『タンカムターム』です。
『タンカムターム』とは、タイ語で「(あたりまえを)疑う」という意味だそうで、彼らが2019年9月、2週間タイに滞在して現地で様々な人の話を聞き、気づいたこと考えたことが真摯に綴られています。
彼らがインタビューしたタイの人たちが本当に魅力的です。
学校教育のせいで積極的に発言することに慣れていない若者たちに、自分の考えを形にすることを学んでもらいたいと、独立書店を運営するオーイさんの話(政治的な圧力を受けて3回も移転を強いられ、今は自宅を書店にしているそう!)には感銘を受けました。
また、移民収容センター(IDC)で、不法滞在等を理由に拘束された人々の人権や、収容所の劣悪な環境改善、難民支援の活動を続けるトンさんの話。
そしてタイ社会の中で、不平等や格差、差別を正当化するような言説が見られること、市民の中の分断などを鋭く批評し歌うヒップホップミュージシャンRADさんの話。
インタビューを読んでいると、まるで日本のことを聞いているような錯覚を覚え、似かよった社会問題をともに抱えていることに気付きます。その社会問題に対して立ち向かい、変化を作り出そうとしている3人の話はどれも素晴らしく、学びたいと思いました。さらにそれぞれのインタビューを終えてからの学生のみなさんの振り返り座談会、自分と社会の関わり方を能動的に模索する姿には希望を感じます。
ぜひたくさんの人に読んでほしいオススメのzine、300円で読み応えたっぷりです。
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◎タンカムタームHPより
鹿児島大学2019年度タイ研修参加者有志が制作したZINE『タンカムターム』です!
「タンカムターム」とはタイ語で「(あたりまえを)疑う」という意味です。
軍事政権の続くタイで民主化のために、文字通り命をかける活動家やミュージシャンへのインタビューや、現地での経験を経たわたしたちが感じたことを議論する座談会、あたりまえを考えるためのブックレビューなどを掲載しています。
地方の大学生たちが、タイで出会った人たちに影響されて、自分たちのできることを真摯に考えて、自分たちなりの表現をしてみました。
わたしたちと一緒に「あたりまえ」を考えてみませんか?
◎目次
〈インタビュー〉
「思考する市民の共和国」
ーーロッチャレーク・ワッタナパーニット
(独立系書店Book Re:public店主)
「隠された命に光を」
ーーサックダー・ケーオブアディー
(俳優 / 難民支援活動家)
「分断をうたう言葉」
ーーRap Against Dictatorship
(反軍事政権ラップグループ)
〈座談会〉
インタビューだけでは伝えきれない、
現地でのさまざまな経験をふりかえる座談会!
〈書評〉
「あたりまえ」を疑うために、鹿児島の大学生がおすすめするブックレビュー!
◎タンカムターム制作チームのinstagram
https://www.instagram.com/thai.ni.iki.thai.2020/?hl=ja
著:2019年度鹿児島大学タイ研修参加者
表記:日本語
H210mm×W148mm/36P/2020
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*Free shipping on orders over ¥ 10,800
in Japan only. Overseas shipping charges apply.