既存の社会から疎外された人々、その存在に不寛容である人々…クィア、母娘の関係、老いと孤独というテーマを正面から見つめた作家キム・へジンの傑作長編小説。
かつて華麗な世界で活躍しながら独身で身寄りがない認知症の女性を、老人介護施設で世話する60歳過ぎで一人暮らしの「私」。そのもとにほとんど連絡をとっていなかった非常勤講師をしている「娘」が、住む場所をなくし転がり込んでくる、しかもパートナーの女性を連れて。不協和音の中で、「私」はレズビアンの「娘」を受け入れられるだろうか…
"私の育て方が悪かったんですよね"
「普通」の幸せに背を向ける娘にいらだつ「私」。
ありのままの自分を認めてと訴える「娘」と、その「彼女」。
ひりひりするような三人の共同生活に、やがて、いくつかの事件が起こる。
著者紹介
キム・ヘジン
1983年、大邱生まれ。2012年に短編小説『チキンラン』が東亜日報の新春文芸に当選して作家デビューを果たす。2013年、ホームレスの男女の愛を描いた『中央駅』で第5回中央長編文学賞、2018年に『娘について』で第36回シン・ドンヨプ文学賞を受賞。弱者や少数派と呼ばれる人々の声なき叫び、彼らに対して情け容赦ない社会の現実などを当事者の視点から冷徹な筆致で描いてきた。他の作品に短編集『オビ』がある。
古川 綾子
神田外語大学韓国語学科卒業。延世大学教育大学院韓国語教育科修了。第10回韓国文学翻訳院翻訳新人賞受賞。神田外語大学講師。訳書に『降りられない船―セウォル号沈没事故からみた韓国』(ウ・ソックン、クオン)、『アリストテレスのいる薬屋』(パク・ヒョンスク、彩流社)、『未生 ミセン』1-9巻(ユン・テホ、講談社)、『走れ、オヤジ殿』(キム・エラン、晶文社)、『そっと 静かに』(ハン・ガン、クオン)など。
著者:キム・ヘジン 김혜진
日本語訳:古川 綾子
出版元:亜紀書房
表記:日本語
H188mm×W127mm/232P/並製/2018
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