

イーニドとレベッカ、親友、ハイティーン、思春期、変化のな い日常、近づいてくる大人の世界、そしてふたりの異なった未来、本当の世界、 彼女たちの世界、遠いところ、ゴーストワールド、ふたりの女の子の物語。
2001年夏、日本でも公開され、話題になったアカデミー賞ノミネート映画「ゴースト ワールド」(2023年11月よりリバイバルロードショー!)の日本語版原作コミック。
◎著者プロフィール
Daniel Clowes (ダニエル・クロウズ)
カルフォルニア在住。Daniel Clowes(以下ダン)は1961年シカゴ南部の生まれ。子どもの頃から十歳年上の兄の影響もあって、B級ホラー映画やMADマガジンと言ったものが身の回りに溢れ、加えて陳腐なパルプマガジンや少し風変わりなポルノ映画と言った具合のオルタナティブな50年代アメリカンポップカルチャーの残り香が漂う時代の刷り込みも深く、その嗜好や傾向は、現在の彼の作品の端々に作用していると言われています。またコミックジャンキーの兄の影響もあってコミックとの出会いも随分と早い。しかし現在の作家として彼を考える時、やはり注目されることは、その当時友人宅にあったPLAYBOY やPENTHOUSEに連載されていたR.Crumbのアダルトコミックとの出会いとその影響と言えます。タイトルは確か「BigAss」(でかいケツ)。すぐさまそれを真似て自分なりの「BigAss」を描き始めたと言う逸話からも、その影響の大きさは伺い知れるものです。
そしてその後、NY@BrooklynのPratt Insutitute でアートを学ぶ傍ら本格的な創作に入ります。「CRACKED」マガジンにて「The Uggly Famly」が掲載されたのも丁度その頃。その内容はと言うと、アダムスファミリーばりの奇怪家族モノだったそうですが、現在はそのオリジナルが行き先不明と言う事で目にできないことは大変残念です。その後「CRACKED」マガジンとの関係はその後も数年間に及ぶ事になります。
大学を卒業後、様々な思惑の中、イラストレーターとしてやっていく決心を固めるものの、見事に仕事の依頼はゼロ。その当時のことを振り返ってダンは、もう少しで頭がおかしくなる所だったと自笑気味。しかしそのような状況は思わぬ成果を生み出すのです。なぜならその不満のはけ口として、再び舞い戻ったのが子どもの頃より慣れ親しんだコミックの創作ということ。ぼんやりと暇つぶしに机に向かって筆を走らせながら、彼の処女作と言える「LIOYD LEWELLYN」のキャラクターが生まれたのです。ちなみに主人公のLIOYD LEWELLYNと言う名前は、Danが子どもの頃に思い付いた名前だと言う事。そこから彼の作家としてのキャリアは始まりました。そして幸運な事に作品の完成と共に「LIOYD LEWELLYN」はFANTAGRAPHICBOOKSから出版され、1985年から1989年まで計6冊が刊行されます。丁度その時期DAVID GREENBERGERと「DUPLEX PLANET」を共作。
そして89年、今となっては伝説にすらなりつつある「Eightball」がついに刊行、その後その誌面はダンの主な創作の発表の場として様々に変化しながら現在でVOL,21(2000秋現在)にも至ります。その流れの中では、初期に目指された古き良き50年代のMADマガジン風のスタイルは、次第に作者の成長と共に姿を変えていくことになります。実際Dan自身も語るように初期傑作長編「LIKE A VELEVET CAST IN IRON」の連載終了後のVOL,11を境にその様相は、マガジンスタイルのものから次第に変化しVOL,13を経てVOL,15ではMAD風の初期の姿は完全に払拭される事になりました。そしてその変化と平行して、様々な意味でも重要なターニングポイントとなる「Ghost World」が発表されます。また続けて今までの読者を超えて高い評価を呼んだ「Caricature」やその他のサブストーリ的な短編を発表、そしてVOL,19から掲載されているシリーズ「David Boring」は更なる躍進を思わせるほど充実したものとなっています。それらの変化は単純に言えば、ダンの中で眠っていたストーリーテラーとしての才能の開花といえるものです。そしてこのような「Eightball」の過去からの流れは、一作家の成長と変化を知る意味でも大変重要なものと言えます。またそのような独自の創作方法により現在のオルタナティブコミック作家として確立された地位を築いたと言えるのです。そのような意味でも過去、未来ともにダンの周辺は非常に楽しみに満ちていると言えます。
著者:ダニエル・クロウズ
翻訳:山田祐史+PRESSPOP LAB
言語:日本語
出版:プレスポップ
H270mm W175mm/80ページ/2023(第4版)