この本は、子をもつ主婦だけではなく、子どものいない主婦、結婚していない女性たち、そしてすべての男性たちの話でもある。著者は、15冊の本を通じて、やがて資本主義、家父長制に対する疑問へとたどり着く。
「主婦は家でぐうたら」している?
日本よりも家父長制が根強く、日本と同様に共働き世帯が急増する韓国で、社会から卑下されマイノリティになりつつあるひとりの主婦が、日本でも翻訳されている話題の書を含む15冊を読み解き、こんな言葉を生む社会の仕組みの始まりをたどる旅へ──
「労働者が妻を扶養しているのではなく、妻が、労働者を働きに出られるように扶養しているのだ。」──本文より
女性、男性、非婚女性、すべての人類のこれからを考えるための教養エッセイ!
◎目次
第1章:主婦たちの暮らす離れ島 「家で遊んでるんだって?」
主婦たちの住む世界はどうしてこうも違うのか ソースタイン・ヴェブレン『有閑階級の理論』
もう一度あの頃に戻るとしたら、やっぱり会社を辞めるだろうか レスリー・ベネッツ『女にとって仕事とはなにか』
私はどうして料理が嫌いになったのだろう ラ・ムンスク『専業主婦ですが』
第2章:問題の核心は”カネ"
私が生きている世界はどんなところか カール・マルクス『資本論』
私はなぜに会社を懐かしがるのか ゲオルク・ジンメル『貨幣の哲学』
どうして私はニュースに出てこないのか カトリーン・マルサル『アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?』
3人の子どもを育てあげた専業主婦はなぜ年金をもらえないのか ナンシー・フォルバー『見えざる胸』
第3章:資本主義社会で女性として生きるということ
誰が、なぜ、女性に火をつけたのか シルヴィア・フェデリーチ『キャリバンと魔女』
誰が、誰に、依存しているのか マリア・ミース『国際分業と女性―進行する主婦化』
共存のためになにをすべきか パク・カブン『フォビアフェミニズム』
内側の見えない自分をどうのぞき込むか ロイ・バウマイスター『消耗する男』
第4章:境界線を越えたところの世界
なぜ、家事労働に賃金が必要なのか シルヴィア・フェデリーチ『革命のポイントゼロ』
尼僧が『父親授業』という本を出したらどんな反応がくるか 法輪『母親授業』
非婚女性と既婚女性は連帯できるか キム・ハナ、ファン・ソヌ『女ふたり、暮らしています。』
主婦はなぜ家族のことしか考えないのか ソ・ヨンナム『たんぽぽ麺屋』
◎プロフィール
チョン・アウン
1975年、全羅南道順天生まれ。世宗大学英語英文学科卒。外資系企業で通訳・翻訳の仕事をしたのち、ヘッドハンターとして活動。退職後、ビジネス書、エッセイなどの翻訳を手がけるかたわら、小説を執筆。2013年に『モダンハート』で第18回ハンギョレ文学賞。長編小説に『その男の家に入った』、『ある日体の外に出た女』、『蚕室洞の人々』など、エッセイに『母親の読書』、『高い自尊感情の愛し方』など(いずれも未邦訳)がある。
著者:チョン・アウン
訳者:生田美保
出版元:DU BOOKS
表記:日本語
H189mm×W130mm/256P/2023
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