スポーツはだれのもの?
「ジェンダー平等」が原理的に困難なスポーツにおいて、
その限界がゆえにあぶり出される矛盾や齟齬が
セクシュアリティやジェンダーの問題としてどのようにあらわれ、
特に性的マイノリティをめぐってどのように変化しているのか。
今後のスポーツ界のより本質的な多様さと共存に向けた可能性を考える。
日本の現状について、自らの体験を通じて語った
下山田志帆氏、杉山文野氏、村上愛梨氏のインタビュー掲載!
◎目次
第1章 男性ジェンダーとスポーツ【岡田 桂】
はじめに ―スポーツ=男性領域文化?
1 近代スポーツの成り立ち
2 「男らしさ」の可視化 ―スポーツのグローバル/アメリカ化とメディアによる理想像
3 男らしさのセクシュアリティ(異性愛)化―スポーツと男性ホモソーシャリティ
4 近代スポーツの限界 ―ジェンダー的には“欠陥”文化?
第2章 女性ジェンダーとスポーツ【山口理恵子】
「女性のスポーツする権利」から「スポーツする権利のある女性」へ
はじめに
1 近代スポーツの中の「女性」 ―女性スポーツの高まりと抑圧の間で
2 スポーツから排除される「女性」 ―20世紀以降
3 スポーツする機会をめぐって
4 「女性のスポーツする権利」から ―「スポーツする権利のある女性」へ
おわりに
第3章 ゲイ男性とスポーツ【岡田 桂】
はじめに ―スポーツとセクシュアリティ
1 不完全な(二流の)男性? ―男性ジェンダーの規範と同性愛
2 アスレティックなクローゼット ―プロ・スポーツにおけるホモフォビア
3 ゲイ・ゲームスとオリンピック ―性的マイノリティの可視化とリベレーション
4 “男らしい”ゲイ? ―ホモノーマティヴなスポーツへ
第4章 女性スポーツとセクシュアル・マイノリティ【稲葉佳奈子】
「日本人女性アスリート」のカミングアウトから
はじめに
1 女性スポーツにおける「レズビアン」
2 近代以降の日本における女性の「同性愛」
3 カミングアウトの社会的な意味 ―下山田志帆の事例
4 「日本人女性アスリート」のカミングアウトがもちうるインパクト
■村上愛梨さんインタビュー
第5章 性の境界とスポーツ【岡田 桂】
トランスジェンダー/性分化疾患/“性別”概念の変容
はじめに
1 スポーツにおける「性別」とはなにか?
2 スポーツのセックス化? ―ジェンダーから身体の性へ
3 スポーツにおける身体の公平とは ―ギフト(才能)かチート(不正)か?
4 社会の性規範から遊離するスポーツ
■杉山文野さんインタビュー
第6章 「スポーツを通じた女性の活躍促進」とはいかなる政策なのか【山口理恵子】
はじめに
1 スポーツ政策とは
2 「女性活躍」とは
3 スポーツ政策における女性
4 「ジェンダー平等推進」をめぐって
おわりに
第7章 女子サッカーにおける「メンズ」文化【稲葉佳奈子】
はじめに
1 「女子サッカー」に付与された文化的な意味
2 女子サッカーにおける「メンズ」文化
3 「メンズ」の経験と女子サッカー
■下山田志帆さんインタビュー
第8章 スポーツにおけるLGB 主流化とT(Q+)【岡田 桂】
セクシュアリティの受容と残余としてのジェンダー・マイノリティ
はじめに
1 解放の時代か,ジェンダー秩序の再生産か
2 スポーツにおけるLGBT 内秩序
3 スポーツ世界の中心と周縁
4 “スポーツ”を相対化する
著者:岡田 桂、山口理恵子、稲葉佳奈子
出版元:晃洋書房
表記:日本語
H210mm×W149mm/206P/2022
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